2026 GRAND PRIZE / JGA TECHNOLOGY AWARD

製紙業界への天然ガス拡販に向けた
ライムキルン向けガスバーナの開発と
導入エンジニアリング

Daigasエナジー株式会社

安定操業と製品品質を確保しながら、ライムキルンの天然ガス化を実現。

製紙業界の省エネ・省CO2ニーズに応えつつ、重油から天然ガス・都市ガスへの転換を図るため、以下の特徴を持つライムキルン向けガスバーナを開発した。当該開発バーナおよびエンジニアリング技術は、顧客の最優先事項である安定操業と製品品質の確保を実現しつつ、生産量変動に合わせた調整の簡素化、現場での運用管理の効率向上、さらにはコスト抑制など、多岐にわたるメリットを生み出すことができる技術として顧客導入が進んでおり、全国での天然ガス拡販に貢献している。

ライムキルン向けガスバーナの概略図。既存のバーナ本体を流用し、中心のバーナガンを交換する構造
バーナ概略図 既存バーナ本体を流用し、中心のバーナガンを交換することで燃料転換が可能

KEY TECHNOLOGY

2つの燃焼方式と、現場エンジニアリング。

ガスアトマイズ方式とガス専焼方式の2通りを用意。バーナ技術と現場エンジニアリング力を組み合わせ、製品品質を確保した上で大幅な省エネ・省CO2を実現します。

01GAS ATOMIZE

蒸気・高圧エアの代わりにガスを使用する混焼方式

02GAS FIRING

ガス専焼でありながら重油と同等の輝度の高い火炎を形成

03ENGINEERING

設計・現場マッチング・転換後のアフターフォロー

BACKGROUND

開発概略

製紙会社のライムキルンは主に重油を使用しており、天然ガス化が困難な大型潜在需要である。また製品由来含む多量のCO2を排出するため排出削減が必要である一方、技術的課題から削減困難な産業と位置付けられている。

着実な低炭素化への貢献というガス業界としてのPRに繋がると考え、本開発に着手した。

バーナ技術とエンジニアリング力を用いて、製品品質を確保した上で大幅な省エネ・省CO2を達成し、現在3社で燃料転換を実現した。

PURPOSE

開発の
動機・目的

日本製紙連合会では「国内の生産設備から発生する2030年度のエネルギー起源CO2排出量を2013年度比 38%削減する」と掲げており、省CO2のニーズが高まっている。製紙会社で使われるライムキルンは主に液体燃料、微粉炭、オイルコークスが使用されており、製紙工場の中でもCO2排出量が多い設備である。しかし、従来のガスバーナをライムキルンに使用すると、重油燃焼時と比較して、輝度が低い(輻射効率の悪い)火炎や炉内温度分布の影響により約5%の原単位が悪化すると言われており、燃料転換を妨げる大きな要因となっていた。特に、ライムキルンのような高輝度火炎が求められる領域は、これまで天然ガス化が技術的に非常に難しい分野であったため、燃料転換の実現は困難とされてきた。

また、都市ガス事業者においても、石炭や重油から天然ガスへの燃料転換は過去数十年で大幅に進展し、多くの分野・設備での天然ガス化が進んだ結果、現在では天然ガス拡充に資する潜在需要はかなり減ってきている。このため、大きな潜在需要であるライムキルンにおける燃料転換は都市ガス業界にとって長年の重要課題であった。

Daigasエナジーでは、高温が必要なガラスタンク窯に対して、高輝度バーナ開発のノウハウと燃料転換の豊富な実績を有している。これらの技術や現場エンジニアリング力をライムキルン向けに転用することで迅速かつ低コストでのガス燃焼バーナ開発が可能であると考え、都市ガス業界の悲願を達成し、かつ日本全国のCO2排出削減に貢献するために開発に着手した。

DEVELOPMENT

開発の内容

開発のコンセプト

ライムキルンでは、CaCO3→CaO+CO2という焼成反応が高温で行われている。この反応は温度が高いほど促進されるため、同じ燃焼量でも焼成帯での石灰温度が高いほど効率が向上し、かつ製品品質が安定する。顧客ごとに異なる炉サイズや生産量でも高効率となる温度が実現できるよう、火炎長可変を容易とすることを開発のコンセプトとした。この目的達成に向けて、ノズルを何パターンも製作し、弊社テスト炉での燃焼試験を繰り返したところ、ピーク温度の上昇、焼成帯付近の温度分布を任意にコントロールする技術の獲得に成功した。さらに燃料の一部を燃料転換するガスアトマイズ方式と燃料の全てを転換するガス専焼方式の2種類を実用化することで、顧客の要望に合わせた幅広い提案を行うことが可能となった。

ガス燃焼バーナの特長

  • バーナガン先端のノズルを交換することで任意の火炎長や火炎形状を形成可能
  • 重油専焼と比較して低空気比での燃焼が可能であるため、排気損失の低減が可能で省エネルギー化しやすい
  • 既存バーナを流用する場合、中心ガンのみの交換作業となり、2時間以内の消火時間で燃料転換が容易
  • 霧化媒体である蒸気や高圧エアが不要となる為、それらを作り出すエネルギーコストの削減が可能
01

ガスアトマイズバーナ

混焼方式であり、天然ガスの燃焼性の良さが加わることで省エネを実現した。

02

ガス専焼バーナ

燃料全てを天然ガス化する技術。ガスと空気との混合を工夫し、天然ガスのみで高輝度かつ火炎長可変となるバーナを開発。

ガスアトマイズバーナによる長炎・中炎・短炎の比較
ガスアトマイズバーナ ノズルの変更により、設備条件に合わせて火炎長を調整
通常バーナとキルン用ガス専焼バーナの火炎比較
ガス専焼バーナ 天然ガス専焼でありながら、重油燃焼時と同等の高輝度火炎を形成

ライムキルンガスバーナ共通の特徴

  • ノズル改良によって、炉内温度分布改善に資する温度ピーク変更を任意に可能とすることで効率向上を実現
  • 中心のバーナガン部分のみの交換で燃料転換が可能。炉停止時間が短く、天然ガス化の障壁の一つを解決

省エネ・省CO2効果を最大化する現場エンジニアリング

  1. 特徴①バーナはDaigasエナジーで設計。転換前と同等以上の燃焼性能となるようオーダーメイド対応を実施
  2. 特徴②キルンごとの特徴や製品品質等の顧客要望に最適なバーナ、条件を選定するための現場マッチング力
  3. 特徴③転換後のアフターフォロー(経年変化に対応した改善)による省エネ・省CO2効果の維持・向上が可能